連載コラムこころの点描


NBM(Narrative Based Medicine)

『Aさんが目の前の机の上にあるリンゴを見て、「このリンゴ赤いね」と言いました。そばにいたBさんが、「そうですね」と言いました。』

この短い会話は、言語の表現のみからすると、「AさんとBさんが目の前のリンゴが赤いということで一致した。」ということです。つまらない会話です。しかし、Aさんが東北のリンゴ農家の出身であることや、BさんはAさんの部下であることがわかると、俄然想像力が刺激されます。

このように、同じ「事実」であってもひとによってその意味するところが異なります。私たちの人生がそのひとによって異なるように、そのひとの人生の一部である「病気」も、たとえ病名が同じであっても、異なる意味合いを持っているため、治療には異なる方法が必要であることをNBMは表明しています。


2018.5.8掲載 / 連載