連載コラムこころの点描


「ことば」に絡みつくもの

大きな災害などにあって大切なひとを失ったとき、ひとは『その時から時間が止まっています』と言います。実際は、とき(時)は絶えず飛び去っているのですが・・・。

また数十年前のことでも、あたかも昨日のことのようにありありと覚えているという人もいます。また逆に、辛くなってしまうのか記憶(出来事)をなくしてしまうひともいますし、辛くないように記憶を改変してしまうひともいます。

人間は、「そのひとに起こった出来事」のみを単に記憶しているわけではありません。出来事と一緒にその時わき起こった感情(情動)がまとわり付いています。ですから、思い出すけど感情が湧かなくなったら、本当に「単なる過去の出来事」になってしまうのです。

それによってそのひとが救われる場合もあるのです。時が再び流れ出したのです。


2018.8.27掲載 / 連載