連載コラムこころの点描


なくなってしまった「こころの遠近法」

以下の数字を見てみましょう。

  • 天の川銀河の年齢=1.351×10の10乗年・直径約10万光年
  • 地球の年齢=45億年・大きさ半径6300㎞
  • 地球の太陽までの距離=0.00008151光年
  • 隣の恒星(太陽)までの距離=4.3光年
  • 細胞の大きさ=0.006mm
  • 原子の大きさ=0.1nm(1nmは10の-9乗)
  • 素粒子の大きさ=物質の生成に関わる領域で局所の物としては説明不可能:生成―消滅を繰り返している

人間の大きさは1.7m、60kgです。

私にとっては、上記の数字は、人間以外「実感」のないただの数字です。子どもたちは、約6000万年前に絶滅した恐竜に夢中です。この「6000万年」を実感できる人はほとんどいないと思います。

また、悲しい虐待による幼児の死のニュースの次に、お笑い番組があり、洪水によって多くの人々が死亡したこと、コマーシャルと予告編、その次にかわいい子猫の動画と続きます。こころの「引き回し」が行われています。

私たちの感情は消費されつくし、そのうち無感動な傍観者になります。「味わうこと」はありません。この事態に危機を感じる人は、テレビなどのメディアからはなれます。

何故か?

「こころの遠近感」を取り戻したいからではないでしょうか。一体なにが自分にとって身近で大切なことなのでしょうか。想像もできないマクロあるいはミクロなことは知っても実感は持てません。

そのような事態に曝され続けると、私たちは無感動になり無力感にさいなまれた傍観者になります。あるいは自然の世界ではなく、VRの世界に生きることになるでしょう。

自然の世界では私たちはその一部であるのに対し、VRの世界では私たちは何でも可能な万能感にあふれた者になるのです。


2019.10.4掲載 / 連載

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小宮豊(心療内科・精神科医師、臨床心理士)

1949年生まれ。佐賀県佐賀市出身。両親の転勤で愛知県名古屋市に移る。1974年に名古屋大学理学部物理学科卒業後、奈良県立医科大学に入学し、1984年に卒業。同年、九州大学医学部心療内科教室に入局。1985年より済生会福岡病院(福岡市:内科)、久徳クリニック(名古屋市:内科、小児科、呼吸器科)、古賀病院(福岡県久留米市:内科、呼吸器科)、不知火病院(福岡県大牟田市:精神科、内科)などの勤務医を務める。1990年、精神医学をさらに深めるため、福岡大学医学部精神科教室の研究生となる。1991年、日本心身医学会の認定医となる。1993年、福岡臨床研究所を設立し、同年小宮クリニックを開院する。1996年、日本臨床心理士認定協会認定心理士を取得する。2001年より、福岡・久留米・北九州にてホームレス支援活動に加わり、無料診察を行う。2018年、保険診療に縛られない「こころの悩み相談室LOTUS(ロータス)」を開設、2019年、こころの健康啓発を目的としたNPO法人LOTUSを立ち上げる。