メンタルヘルス対策のポイント


診断は患者の生育歴や地域まで考慮する

少し固い話になりますが、こころの病はこれまで「疾患単位」で扱われてきました。現在でもそれは基本的には変わりません。たとえば、うつ病、統合失調症、不安性障害、パニック障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、アルコール依存症。「疾患単位」とは、平たく言えば、こうした「病名」です。

現代では、これに「発達障害」や「性格障害」などが加重されてきており、診断や治療が複雑化しています。これらの診断、治療の難しさの背景には、例えば、ある人について、どのような家庭環境や交友関係の下で育ったのかという、環境要因としての個人の生育の歴史が治療にも影響を与えるということがあります。

地域の関係性も強いです。最近、東京のあるエリアで社会福祉施設の建設計画が明らかになったとたん、住民の間から「○○には、そのような施設はふさわしくない」という反対論が出て、「地域エゴだ」とか「社会福祉への理解不足」といった批判が出ました。同様なことは心の病の治療についてもいえます。地域の人々の偏見や無理解が原因で、本人にとっても地域にとっても国にとっても必要なはずの治療施設や更生施設の建設反対運動が起きる。こうした現象は前述した地域だけの話ではありません。社会資源としての治療環境を受け入れることは当然だという状態には残念ながらなっていないのが現状です。こうした地域的、物理的事情も、こころを病む人々の治療に影響を与えています。広い視野で物ごとを見定めることが大切なのです。

LOTUSでは、このホームページ上に掲載している事例紹介や考え方に基づき、「こころの病を発症しないためには、どうすればよいのか」「従業員がうつ病などにならないようにするには、どのような人事政策や労務管理が求められるのか」「従業員がやりがいや達成感を感じられる職場を作り、こころの病に悩まされる従業員が発生しない会社にするにはどうすればよいのか」といった具体的なテーマを設定し、対処療法よりも防衛策に力点を置いた研修会、および講演活動を行っております。お気軽にお問い合わせ下さい。


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小宮豊(心療内科・精神科医師、臨床心理士)

1949年生まれ。佐賀県佐賀市出身。両親の転勤で愛知県名古屋市に移る。1974年に名古屋大学理学部物理学科卒業後、奈良県立医科大学に入学し、1984年に卒業。同年、九州大学医学部心療内科教室に入局。1985年より済生会福岡病院(福岡市:内科)、久徳クリニック(名古屋市:内科、小児科、呼吸器科)、古賀病院(福岡県久留米市:内科、呼吸器科)、不知火病院(福岡県大牟田市:精神科、内科)などの勤務医を務める。1990年、精神医学をさらに深めるため、福岡大学医学部精神科教室の研究生となる。1991年、日本心身医学会の認定医となる。1993年、福岡臨床研究所を設立し、同年小宮クリニックを開院する。1996年、日本臨床心理士認定協会認定心理士を取得する。2001年より、福岡・久留米・北九州にてホームレス支援活動に加わり、無料診察を行う。2018年、保険診療に縛られない「こころの悩み相談室LOTUS(ロータス)」を開設。
カウンセラーのプロフィール